ビオラレッスン(第80回)に行く 2時間

 

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【先生が手書きして下さった紙】

 

私のビオラの先生は、御年83歳。

NHK交響楽団(日本のトップオーケストラだ!)を定年退職された後、

国立音楽大学で教鞭をとられた方だ。

 

音楽家として申し分のないエリートコースを歩んでこられた方なのに、

今は、市民オーケストラでビオラを弾いていらっしゃる。

 

ずっと「プロを目指す人」を教えていらしたのに、

私のような素人に、1回2時間のレッスンをつけて下さる。

 

その根底にあるのは、音楽への愛。

 

↑ こう書くと安っぽい感じがしてしまうけれど、

「ほら、いい音が出ただろう」とか「こうすると、美しい音が出るの」などと

おっしゃる先生の表情からは、音楽を心から慈しんでいることが伝わってきて

感動のあまり、レッスン中に泣きそうになることがよくある。

 

月に2回のレッスンは、今現在の私の生活の中で最も澄んだ時間であり、

「こういうことがしたくて、私は、今生、生きているのかもしれない」とすら、思う。

 

 

そのわりに、私のビオラ道はあまりにも、本当にあまりにも!

遅々とした歩みなので、

ビオラのレッスンに通っていることは、人に言いたくない。

 超・個人的な祈りの時間、といった気持ちが強かった。

 

けれども、先日のレッスンの際に、

「こんな素晴らしい時間を、

私ひとりの喜びとして享受していて良いのだろうか?」という気持ちになった。

 

 

レッスンが始まる前、先生は必ずお茶を出して下さり、雑談をする。

その際に、音楽論や、音楽の歴史、音楽家の話など、

興味の赴くままにして下さる。

 

先日は、「コレ」と、手書きの紙を下さった。

私のために、わざわざ、手書きして下さったことに、超・超・感動!!!!

その内容を、下記しておく。

 

 

アッカルド「ヴァイオリンを語る」より

『右手について』

 

「ヴァイオリンは弓だ」(ヴィオッティの口ぐせだった)

右手には「声」がある(アッカルド)

ヴァイオリンから引き出せるあらゆる響きは弓によって作られるのである。

 

弓は弦の上を一直線に往復するのではなく、

架空の8の字のように曲線を描く、ということである。

 

ヴァイオリンを正しく弾くためには、腕だけではなく

体全体で弾くことを理解しなければならない。

楽器を演奏するためには、そこに体全体を参加させなければならない。

 

音を作るために必要な圧力は胃から、

われわれの体のすべのエネルギーが集中する太陽神経叢(※)から生まれる。

 

これは、呼吸を学ぶために歌わなければならないと云うことの理由でもある。

 

正しく呼吸することによって楽器を正しく歌わせるのである。

 

音に対して必要な圧力を体の中に感じられる様になれば、

それを腕を通して楽器に伝えることができるだろう。

その時、腕に緊張はない。

 ※ 太陽神経叢 : おなかにある自律神経の中枢。「第二の脳」とも言われる

 

 

弦楽器を弾くという営みとは、どういったことなのか?

 

そんな根本的なところを、先生は、何度も何度も何度も教えて下さる。

 

音楽を学ぶということは

哲学とか、数学とか。

そういった純粋学問を学ぶことに似ていると思う。