2016.5.11
「デイサービス」も、株式会社QOLサービスが運営する事業所は、キャラが立っています。食を楽しむこと、オシャレを楽しむこと、役割を持つこと、そして残された機能を大切にすること、など。それぞれの施設が異なるアプローチで、「その人らしい暮らし」を支えていました。そんなユニークな4つのデイサービスを紹介します。
1記事目、2記事目へのリンクをつけます(オヤトリドリさん作業)
目次

一歩足を踏み入れると、まずは、その規模の大きさに驚きます。そして「デイサービス」という言葉から受ける印象よりも、ぐっと日常に近い場所だと感じます。まるで、スポーツクラブに行く、趣味の集まりに出かける、ランチを楽しむ――そんな生活の延長線上にある場所のような雰囲気です。
施設内には厨房が新設され、毎日6種類のメニューから選べます。とんかつや天ぷらなどの揚げ物も用意されており、利用者は外食に出かけたような気分で昼食を楽しんでいるといいます。こうした「食」の充実も、この施設に通う大きな楽しみのひとつになっているようです。
見学をさせていただいたのは、ちょうどお昼ご飯前の時間帯。「ここの一番人気はとんかつなんですよ」と、スタッフの方が笑顔で教えてくれました。
午前中は身体を動かす運動中心のプログラム、午後は趣味活動やクラブ活動の時間というように、無理なく一日を通して過ごせる設計になっています。
運動プログラムは、リズム運動やストレッチ、コアトレーニングなど、「努力してリハビリをする」というよりも、楽しく続けられる工夫が随所に見られます。床に座ることが難しい方でも、職員のサポートのもと安心して参加できる環境が整っていました。午後の活動は、少人数でのグループワークや脳活性教室も行われており、サークルのような雰囲気があるそうです。
そうした日々の積み重ねの中で、再び外食や美術館、映画鑑賞といった当たり前の日常を楽しめるようになった方もいるそうです。
次に紹介するのは、「きれいでいたい」という気持ちに寄り添うアプローチです。
その名も、「ありがとうビューティ」。まずは室内の様子からご紹介しましょう。

室内に足を踏み入れると、そこには洋風で落ち着いた空間の中に、シャンデリア、そしてピンク色のドレープのカーテン——まるで少女の頃に思い描いた夢のような世界が広がっていました。さらに、メイクアップ専用のエリアまであります。

利用者は、美容への関心が高い女性たちです。お風呂上がりにゆっくりと化粧を整えたり、ネイルを楽しんだり——。ここでは、「ビューティ」という名前の通り、美しくいることが日常の喜びとして、大切にされていました。

室内には、自然と歩行訓練につながるよう動線が設計されており、日常の中で無理なくリハビリが行える工夫が随所に見られます。また、機能訓練指導員や看護師による個別サポートも提供されており、一人ひとりの状態に合わせたケアが行われているとのことでした。日中は、体操やストレッチなどのプログラムが組まれ体力を維持するための時間がしっかりと確保されています。

一方で、クラフト制作や手芸、塗り絵といった活動に取り組む方も多く、それぞれが自分のペースで時間を過ごしていました。

きれいでいたい、整えていたいという気持ちが、その人の内側の力を引き出しているのではないか? そんな場だと感じました。

このデイサービスの大きな特徴は、利用者の約7割が男性である点です。
では、男性に必要なものは何なのでしょうか? ここで大切にされているのは、「役割」でした。たとえば、利用者の名札には、それぞれ役職が記されています。


職員の方は穏やかな雰囲気で、利用者の話にじっくり耳を傾けていました。その方に合った「役割活動」を見つけることに長けており、畑作業やパソコン、手紙を書くことなど、それまでの経験を活かした取り組みが行われています。
男性の場合、「デイサービスには行きたくない」という声も少なくありません。けれども、体験利用をきっかけに通い始め、役割を持つことや職員との関わりの中で気持ちが前向きになり、次第に自ら積極的に活動するようになった方もいるといいます。
自宅でも散歩に出るようになるなど、生活に変化が生まれ、ご家族の負担軽減にもつながっているとのことでした。
高齢者施設では女性の利用者が多いこともあり、男性が居場所を見つけにくいという課題があります。こうした状況に対する、ひとつの解決策を提示しているようにも感じられました。「必要とされること」が、人を動かす力になる——そんなことを感じさせる場所でした。
認知症の方には、さまざまな能力が残っています。この施設では、認知症ケアの専門職が環境や関わり方を工夫することで、その力を引き出し、豊かな生活を支えていました。

特徴的なのは、中重度の認知症の方や、他のデイサービスで受け入れが難しかった方も受け入れている点です。混乱が見られる方でも、ここでは落ち着いて過ごせることが多く、環境の力を感じました。
ケアの中心にあるのは、「何かをさせる」ことではなく、「自然な日常の中でできることを活かす」という考え方です。掃除が好きな方には自然に身体を動かす機会が生まれるように関わるなど、生活そのものの中にケアが組み込まれています。また、家族にとっての支えでもあり、日々の小さな変化や一瞬の表情を共有することで、「ここに相談できる」という安心感につながっているといいます。
特筆すべきは、利用者さんたちの柔らかな表情です。筆者は、畠中雅子さんにお導きを頂き、高齢者施設見学を続けているので中重度の認知症患者の方をお見掛けすることも少なくありません。認知症が進むと、表情がなくなっている姿も何度も見てきました。それだけに「ケアによっては、中重度の認知症の方はこんなに豊かな表情、しぐさをされるのか!」と、ある意味、衝撃でした。
「ここまでできるんだ!」と驚いた――人生を支える介護の現場へ
そして「食・美容・役割・・・。”その人らしさ”を支えるデーサービスの取り組みとは?」と題した本記事。
3本にわたってお届けしてきた広島県福山市にあるのは、株式会社QOLサービスの記事は、これで一区切りとなります。
実は見学を通じて、私の中にいちばん強く残ったのは、スタッフの方々の生き生きとした表情でした。
「お客様に感動していただけるサービスを提供する」というのが株式会社QOLサービスの企業理念ですが、その言葉を現実のものにしているのは、設備でも仕組みでもなく、やはり“人”なのだと感じました。
株式会社QOLサービス妹尾弘幸社長が、「職員のことどう思ってるか聞いてみた」というインタビューに回答しているYouTubeのショート動画があるのですが、そこに秘訣が隠されているような気がしました。その人が力を発揮できる環境を整えること――福利厚生を含め、働く人を大切にする姿勢こそが、結果として介護の質を引き上げているのだと、現場を見て実感しました。
介護は、誰かの人生の終盤を支える仕事です。だからこそ、その現場に立つ人自身が、日々を大切にできているかどうかが、そのままケアの質に映し出されていくのではないか。この場所で積み重ねられている日常が、これからの介護の一つのかたちとして、全国に広がっていくことを心から願っています。
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