麗しき主婦道

主婦er 〜麗しき主婦道〜

清少納言は、ジェーン・スーだった(2017年正月日記)

2017.1.4

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【長い休みは、古典に親しむ】

 

盆と正月。

主婦が、のんびりできる長期休みには、

古典に親しむことにしている。

 

夏休みは、「近代文学を体系として理解すること」を試みたが、

お正月休みは、枕草子にトライしてみた。

 

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【枕草子 REMIX 酒井順子】

 

この本、すごくわかりやすかった。

枕草子の世界観を掴む「とっかかり」としては、良いんでないかい?

 

私、クラッシック音楽に対しては、

ソコソコ真面目に取り組んで参りました。

 

それゆえ。

「朝のクラッシック」とか「名曲フレーズ」といったREMIXのCDを聴いて、

「クラッシックを聴いている」と思っている人に対して

「聴いたとか思っている??」と、軽い怒りすら感じていた(告白)。

そんな私ですが、枕草子はREMIXで精一杯でした。

 

 

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【桃尻語訳 枕草子 上・中・下 橋本治】

 

酒井順子のREMIXで、「おっ!!!」と引っかかった部分は、

橋本治の桃尻語訳で、内容をチェックした。

 

に、してもですね。

桃尻語訳は、言葉が飛び跳ねすぎ。

 

読んでいて、疲れました。ちうか。

 

「『桃尻語訳 枕草子』の初版が出た1987年頃は、

こういう文章がオシャレだったんだろうなぁ」と、思った。

 

「パーソンズやセーラーズの服が、

流行っていた頃ありましたよね??」的な気持ちだな。

 

そういえば。

「橋本治や、中野翠に、キュン・キュン! していた頃があったなぁ」と、思い出した。

 

10代~20代、村上春樹や吉本ばなな、池澤夏樹では飽き足らず、

中沢新一とか、浅田彰 あたりの本まで手を伸ばしていたが、

「池澤夏樹 以上 中沢新一未満」に、

橋本治や中野翠がいた感じ。

 

奇しくも最近、こんな本を買っていた。

 

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【この世には2種類の人間がいる 中野翠】

 

上記の本の中に、こんな一節がある。

 

+++

それは

うたう人と

ひねる人だ

 

短歌は「うたう」と言い、俳句は「ひねる」と言う。

両方とも「つくる」という言葉で間に合わせても構わないのだけれど、

昔からわざわざ「うたう」「ひねる」と使い分けている。(中略)

 

日本人が、ふと「何か文芸的なことをやってみたいなぁ」と思った時、

一番身近に感じられるのは俳句か短歌だろう。

 

そして、ある人は短歌に向かい、ある人は、俳句に向かう。

その分かれ目って何なんだろう。そこには何か意味があるんだろうかないんだろうか。

 

私の場合は、はっきりと俳句だ。理由は簡単で、俳句のほうが短いから。

もしかすると理由はもうひとつ。自分でも時どき理解に苦しむ

へんてこな羞恥心のせいもあるかもしれない。

+++

 

中野翠の言い回しを使えば、

紫式部は短歌の人で、清少納言は俳句の人、

のような気がした。

 

 

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【貴様いつまで女子でいるつもりだ問題 ジェーン・スー】

 

そして、掲題のジェーン・スー。

 

おそらく「主婦er」読者の方々は、ジェーン・スーをご存じないだろう。

なぜなら、ジェーン・スーは、自称・「未婚のプロ」。

主婦とは、メンタリティー的に、かーなーりー、対極にいる存在だから。

 

ジェーン・スーの代表作、

私たちがプロポーズされないのには、101の理由があってだな』で、

彼女を「発見」した時、「久しぶりに面白い人が出てきたなぁ」と本を購入し、

ママ友に、「回し読み閲覧」をしてもらったのだが、

概ね、不評だった。いや概ねではなく、全員から不評。

 

曰く

「何が言いたいのか、わかんない」

「よかった結婚できて。痛すぎでしょ、この人」

「こういう人とは、友達になりたくない」

「会ったことないタイプ。こういう人が、結婚しないんだね(他人事)」

 

そーですか、そうですね……。わかります。

でも、私は、こういうの「も」好きなんだよ!!!!

 

私の「現在置かれている状況下」におかれましては(※)

面と向かって(誰に??)、ジェーン・スーが、好きだ、とは言いづらいが、

生活の中に、ジェーン・スー要素がなくなったら、相当、苦しい。

 

※ 見渡せる範囲、全て主婦。その主婦たちは、ケンカしつつも夫婦仲が良く『幸せ家族』が多い傾向

 

 

で、枕草子に話を戻して。

酒井順子は、「枕草子 REMIX」の「あとがきにかえて」の中で、こう書く。

 

+++

彼女は、「自覚の人」なのだと思います。(中略)

自分が時には意地悪で、時には自慢しいであることも。

そして自分が若くなく、美人でなく、またそう高貴な生まれでもないことも。

彼女は全てを自覚しており、その自覚から枕草子は生まれました。

 

彼女は、だからこそ自覚の無い人を憎みます。自分の立場を心得ずに似合わないことを

する人や、自分を大きく見せようとする人を、許すことができないのです。(中略)

 

骨の髄まで客観視、という彼女の姿勢に、しかし私は惚れ惚れします。(中略)

「そういうのってほとんど・・・業ですよね、業」

と、言いたくなる。

+++

 

中野翠、酒井順子、ジェーン・スーは

「みんながボンヤリ感じていることを、的確な言葉で表現する」

という意味で、同じ種類の人達だ。

そして、清少納言も、同じ系譜の人間なんだと思った。

 

つまりは、とびっきりの(←ここ重要。中途半端なら、掃いて捨てるほどいる)

コラムニスト。(古くは随筆家と言う)

 

とびっきりのコラムニストの文章を読むのは心地良いけれど、

「コラムニストになりたいか?」と問われれば、答えはNO! だ。

 

いやいや、そもそも、なれないけれどね???

 

ちなみに、中野翠、酒井順子、ジェーン・スーは全員、未婚。×すらない生粋の未婚。

とびっきりのコラムニストと女の幸せは100万光年の距離がある。

 

こんなことを書いたら、

コラムニストの方々からは、

「じゃあ、教えて欲しいんだけど、女の幸せって何なの?」と詰問されるか、

「私は、女の幸せとか平気で口に出せる

『もの欲しそうな女』の鈍感さにイラつくの」くらいのパンチをカマされるか

ガン無視されるか(←これが一番、ありえる)だけどね。

 

 

えーとね、何で、そんなん知っているかっていうとね??

女性誌業界は、そんなお姉さんばっかしがいた(多分、現在も『いる』)んですよ。

って、女性誌業界を語ると、話が異常に長くなるのでここらで止めておく。

 

 

そうそう。

一番大事なことを、書き忘れそうだった。

 

とびっきりのコラムニストを、コラムニストたらしめるものとして

「羞恥心」と「客観的に見る視点」以前に、

鋭敏な言語感覚が必要だ。

 

2017年の正月現在の私が、

「す、すごい!!」と、思わず息を飲んだのは

枕草子 第242段。

 

ただ過ぎに過ぐるもの。

帆かけたる船。

人の齢(よはひ)。

春・夏・秋・冬

 

この流れで、「春・夏・秋・冬」と、言い切ってしまうところに

スッコーンと爽快感を感じて、胸が高鳴った。

素晴らしい言語感覚だと思う。