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親が、倒れた。初動は、どうする? ポイント4つ

2015.11.24

「うわ、こうなる前に調べておけばよかった!」と検索で、このページに辿り着いた方へ。ポイントを4つに絞って、「親が、倒れた時の初動」について、お伝えします。

質問しているのは、私、楢戸ひかるです。回答して下さっているのは、高齢期に詳しいファイナンシャルプランナーの畠中雅子さんです。

ポイント1 地域包括支援センターと連絡をとる

介護制度の玄関 地域包括センター

ー 初動の「とっかかり」は、どうしたら良いのでしょう?

まずは、地域包括支援センターに相談をして下さい。地域包括支援センターとは、文字通り、その地域の介護について、包括的に相談できる公共の機関です。

いわば、「介護制度の玄関」とも言える場所で、利用料は、無料。中学校の校区に一つくらいの割合であります。

ー どこの地域包括センターに、連絡すれば良いのでしょうか?

地域包括支援センターの管轄は、「親御さんのご自宅」で、判断されます。

判らない場合は、最寄りの地域包括支援センターに連絡をとり、「親御さんのご自宅」の管轄を教えてもらいましょう。

「地域包括センター + 自治体名」で検索すれば連絡先が出てきます。

注意したいのは、自治体によっては、「地域包括支援センター」という名称でない場合もあることです。たとえば、横浜市は、「地域ケアプラザ」です。

ポイント2 介護認定を申請する

ここからは、「親御さんが倒れた時の健康状態別」にお話しを伺います。

3人に1人は「突然介護」

ー 親御さんの健康状態が良く、自宅に戻って生活できそうな場合は、どうでしょう?

内閣府の資料によると、「介護が必要となった主な要因」のトップ3は、「脳血管疾患」「心疾患」「骨折・転倒」です。

この3つの要因を合計すると、全体の32.7%で、3人に1人は、「突然の介護」なんです。

高齢の親御さんが、倒れて、病院のお世話になった…。それは、「介護がスタートするタイミング」なのかもしれません。

ー 確かに、その時点で、介護がスタートしたかもしれない可能性があったのなら、たとえ元気だったとしても、情報収集は欠かせません。

その通りです。仮に、今回の入院では日常生活に戻れたとしても、再度、倒れることも考えられます。

繰り返しになりますが、「段階的に、介護状態になっていく可能性」について、早めに話し合いを始められるに越したことはありません。

介護保険を使うには「介護認定」が必要

ー 「介護」は、どこから考え始めればいいでしょうか? 

まずは、介護保険の申請をします。介護保険制度を利用するためには、「要介護認定」を受ける必要があるからです。

ー 要介護認定とは、何ですか?

その方が生活をするにあたり、「サポートが必要である」と認定をするシステムです。

「要支援1」 ~ 「要介護5」までの7段階があり、目安は下記となります。

厚生労働省「要介護認定の仕組みと手順」より抜粋

「入院先の病院 ⇒ 介護施設」に、直接入居が必要な時

まずは病院に相談を

ー 親御さんの身体状態によっては、「入院先の病院 ⇒ 介護施設」の場合もありえます。そんな場合は、介護保険の申請手続きだけでも大変そうです。

そうですね。ただ、親御さんが、病院から出ることが厳しい状態の場合は、介護の調査員の方が、病院まで介護申請の手続き作業に来てくれると思います。

ー 介護認定までは、どれくらいの期間かかるのですか?

一般的には、申請から認定まで、約1カ月と言われています。

ただし、医療依存度が高い状態(★)の場合は、病院に「介護認定待ちなんですが」と、相談してみましょう。

★何らかの医療的処置や看護が必要な場合

病院は、「出口(退院日)」がはっきりしていないことを、嫌がる傾向があります。

反対に言えば、「介護認定待ちです」という言い方をすれば、「介護認定が出れば退院」と退院日がはっきりしているので、退院日を伸ばしてもらえる可能性があります。

入居施設が見つかるまでの「繋ぎ」の施設がある

ー ベッドに余裕がない場合など、相談しても、「なるべく早く、退院して下さい」と言われてしまった時、どうすればいいですか?

医療依存度の高い人用の老人介護施設の中には、ショートステイを案内している施設もあります。そういった施設にコンタクトをしてみましょう。

入院している病院の職員の方に、「この病院の近隣に医療依存度の高い人が入れそうな施設はありますか?」と聞いて、評判や受け入れ状況を教えてもらうと良いでしょう。

ステップ3 施設選びを検討する

施設選び前に必ず押さえておきたいこと

 「入院先の病院 ⇒ 介護施設」となった場合、受け入れ先の施設候補として、「老健」・「特養」・「介護付き有料」といった単語が出てくると思います。それぞれの違いを教えて下さい。

その話をする前に、前提として大切なことをお話させて下さい。「親御さんが、今後、生活をしていく上で、どんな医療的な処置・治療が必要なのか?」が、施設を選ぶ際基軸となります。

たとえば・・・。

  • 減塩食など、食事の個別対応があるか。
  • インシュリン注射
  • 中央静脈栄養
  • 点滴
  • 胃ろうによるチューブ食
  • 在宅酸素
  • 人工透析 など

こういった処置や治療の有無を、親御さんが病院に入院している間に、病院側にしっかりリサーチしておくことが、必須です。

なぜなら、入居を決める際には、「受け入れ先の施設で、その処置や治療ができるのか?」を確認する必要があるからです。

「老健」・「特養」・「介護付き有料」、どう違う?

 なるほど。「前提」を心しておくのは、とても大切なことだと、理解できました。

では、「老健」・「特養」・「介護付き有料」の違いをお話していきましょう。

老健は、介護老人保健施設の略で、家庭復帰が前提となっている施設です。

特養は、特別養護老人ホームの略です。多くの方が、施設介護といったときにイメージする施設で、終の棲家として看取りを行うケースもあります。

ここまでの二つは公的な施設です。

ー 公的な施設なのであれば、何か線引きがありますか? 

はい。老健に入るためには介護認定「1」以上であること、特養は介護認定「3」以上であることが条件です。

一方で、介護付き有料と呼ばれる、介護付き有料老人ホームは、民間の施設となります。民間の施設なので、その施設の「入居の受け入れ基準」をクリアしていれば、入居が可能です。

特養の場合、申請できるのは要介護3以上ですが、入所した後に要介護2などに状態が改善したとしても、原則として退去を促されることはありません。

ポイント4 国は「介護をしすぎたい」ことを奨励している

 親御さんのケアが必要な世代は、働き盛りでもあります。

そんな方に、見て頂きたいのは、厚生労働省の介護休業制度のHPです。

ポイントを抜粋しておきます。

  • 介護保険サービスを利用し、自分で「介護をしすぎない」
  • 介護を深刻に捉えすぎずに、「自分の時間を確保」する。

国は、介護を一人で抱え込まないことを奨励しています。

最初に、介護の仕組みについて話をしましたが、頻繁に親元に通うことで、自分の生活が破たんしてしまうことも考えられます。

ましてや、「介護のために仕事を辞める」というのは、親御さんが亡くなった後の収入のことを考えると、最も避けたいことです。

介護が始まる時は、みんなが「初めてのこと」です。

だからこそ、「介護保険サービスを上手に利用して、『介護をしすぎない』ことを奨励している」という国の方向性を、介護が始まる前に知っておいて欲しいと思います。

今回は、ポイントを4つに絞って、「親が、倒れた時の初動」について、高齢期に詳しいファイナンシャルプランナーの畠中雅子さんに伺いました。

突然の介護になる人は、3人に一人。誰の身にも「突然の介護」が起きても不思議ではないのが現実です。

だからこそ、国の制度の概要だけでも知っていると、気持ちの上で楽ですね!