2021.7.2
第93回アカデミー賞授賞式が行われ『ノマドランド』が作品賞、監督賞(クロエ・ジャオ)、主演女優賞(フランシス・マクドーマンド)を受賞。主要を含む最多3部門で堂々制覇となりました!
公式サイトは、コチラ。
概要がわかりやすいのは、コレかな。
映画を見た私の感想は、「資本主義経済社会の行きつく先って、
弱者(経済的困窮をした高齢者)が、そのツケを引き受けるんだ」と、戦慄した。
映画は、エンターテインメントだから、シビアな現実にフォーカスしつつも、
「救い」が美しく描かれているけれど、「救い」の部分はファンタジーでしかないと思った。
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たまたまなのだけれど、以前、
「エリクソンの『ライフサイクル理論』を学びたいと思う」と書いていたが、
それに関する本を、往復の電車の中で読んでいた(映画は渋谷で上映していた)。
私が読んでいたのは、佐々木正美先生の本です。
で。
佐々木正美先生は、本の中で「人間は、人間関係を失ったら健康には生きていけません。
人間関係しだいで、人は幸福にも不幸にもなります」と、書いている。
けれども、資本主義経済社会では、通貨という概念が流通したので、
建前上は、人が人と関わらずとも生きていけるようになった。
言い換えれば、「煩わしい人付き合いをせず、
基本的には、何でもお金で解決できる(ように思える)社会」とも言える。
それは、ある意味、自由の獲得でもあるのだけれど、
人間関係の経験値の低さを孕んでしまう。
今、この言葉は、「面倒くささ」と、ほとんど同義語だけれども、
「人間関係という体験」の中でしか学べないことはたくさんある。
たとえば、自分とは全く違う意見の他者と、
どんなふうに地平線を築き、会話を始め、意見をすり合わせていくのか。
たとえば、自分が失敗をして他者に迷惑をかけてしまった時、
それを、どう相手は受け止めて、自分は、それをどう感じたのか。
そういった経験値(人間関係を体験する機会)がないまま
高齢者になってしまい、経済的にも困窮してしまうと、
そこにあるのは、本当の孤立なんだと思った。
今、日本では、老後破綻みたいな感じで
「経済的な困窮」の方にばかり
老後の不安がフォーカスされている。
けれども、私は、お金に不自由していない高齢者
(富裕層と呼べる人たち)で、幸せそうでない人の顔が山ほど浮かぶ。
おそらく、核家族のはしり。みたいな人が
高齢者と呼ばれる世代になっているせいだと思う。
老後の経済的な困窮も、それはもちろん深刻だが、
人間関係の経験値が低いまま高齢者になってしまうことも怖い。
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