2022.12.15
「夫源病」という本を出版し、多くの女性から支持を得ていた医師の石倉文信さんがお亡くなりになりました。ご冥福をお祈りするとともに、思うことを書いてみます。
私は、石倉さんにお会いしたことはない。ただ、読売新聞のサイト「ヨミドクター」で、同じ時期に連載をしていた。
公開された自分のコラムを見がてら、ヨミドクターさんを読む、というのは、ここ5年の私の日常だった。
石倉さんのコラムは、いつも「あ、そうだよな~」と思う話ばかり。医師になった3人の娘さんの子ども(彼にとっては孫)をおんぶしながら、家事をしている写真などもアップして、「なんて、イケている人なんだろう!」と、ファンだったのだ。
石倉さんの死を知ってから、ネットなどで関連記事を読んでいる。
驚いたのは、私は「いいこと書いているなぁ」と思っていた連載は、余命宣告を受けてから開始したものだったということ!
婦人公論が取材した、彼の「死に支度」、とても参考になるので貼っておきます。
嗚呼、彼のことを、一度、取材したかったなぁ~。
彼は、更年期を迎えた男女を診察しているうちに、「妻から見放されると、人生の終末は不幸になる」という警告をコラムで発信するようになった。
以下、ヨミドクターの最終回から抜粋する。
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「男と女の楽しい更年期」(楢戸注:石倉さんの連載名です)に関しては、かなり男性(夫)に対して厳しい話が多かったと思います。おそらく皆さんは私を男性の敵だと考えておられるかもしれません。しかし、実は男性の味方だと私は思っています。
仕事中心の男性が、いつの間にか家族と距離を置くようになり、中高年あたりから夫婦間や親子間の関係が崩れていきます。そして定年期に決定的なことが起こることが多いです。熟年離婚を免れても、卒婚の状態に入る夫婦がかなり多いようです。
(中略)
高齢になって妻から見放されると、多くの男性の生活はかなり厳しいことになります。さらに年を取ると、子供や妻からも相手にされない不幸な人生の終末を迎える可能性が高くなります。
これは一人暮らしの男性の寿命が短く、逆に女性の寿命が長いなどの点で科学的に証明されています。人の幸福感はそれぞれですので、私が口出しすることもおこがましいと思います。ただ、多くの中高年男性を診察してきた経験から、様々なアドバイスや忠告をしてきたつもりです。
診察に来られたご夫婦の人生には関わってきましたが、コラムでは一方通行になります。皆様が私のコラムを読んでどのように感じたかは全くわかりません。コラムを読んで不快な思いをした男性の方々には深く謝ります。私は一人でも多くの中高年男性の方が幸せな老後を送ることを祈ってやみません。
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私は、高齢期の取材をするこが多いのだが。
高級老人施設にいる、怒ったような顔をした「おじいさん」を思い出す。
あの人たちは、高級老人施設に入居できているという意味では、ある程度「成功した人生」なのだろうが、ちっとも幸せそうじゃない。
石倉さんの言葉を借りると。
子供や妻からも相手にされない不幸な人生の終末
なのかな? とも感じている。
息子が高齢期を迎えた時に、そんな終末にならないことが私の育児目標だ。
「育児」と「おじいさん」って、タイムラグ甚だしいけど、でも、いつかは息子達も終末期がやってくるのは確かな現実だ。
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