麗しき主婦道

主婦er 〜麗しき主婦道〜

0歳と5カ月 自分の体を「発見」する ~母親に着地する方法8~

2023.11.2

5か月は、仰向けで寝ている時期の最終段階。

質問者 : 楢戸ひかる
回答者 : 富岡美織・北の星東札幌保育園園長 プロフィールは、こちら。

―この頃、足の指をなめる動きをする

六カ月くらいで寝返りする子が多いから、この頃が仰向けで寝ている最終段階。

この時代は、まだ自分の姿を見たことないわけ。

ここで足をさぐったり、ひざをなめたりして「自分の体はこうなんだ」ということを知る。

その気づきは、とても大事にしている。

自分の体をまさぐっていって、体の末端にまで気がつく。

新しい世界の発見だよね。

そこで「オレはここまでだった」と、探検は完成する。

そこに到達するには、手を足の方まで持っていけること、足をひきつけられること・・など、体の動きの難易度も要求される。

そこまで自由に動けるようになったことが、いわば仰向け時代終了の証なのね。

自分の体を使った遊びを、仰向け時代の最終段階でやりきっているかどうか? 

それは、この頃の発達の上では、大切にしていること。だから「足の指をなめて汚い」と思わないで欲しい。

口が触覚

―いろんなものを、口に入れてなめまくる時期でもある

感覚を育てるという意味で、なめまわしは大切なんだ。

赤ちゃんは、ものを触るだけじゃ確認できないから、何でも口にいれてみる。

「このオモチャは、口に入らない」「タオルはシュパシュパするな」と目に入ったものを手で持ち、ひとつ、ひとつ口にいれて確認する。

園では「クローバー」といって、おもちゃを媒介にしてクローバーの形になって遊ばせている。

この時は、友達の指までしゃぶり倒すからね(笑)。

「何でもなめて気持ち悪いわ」とは思わずに、この行為も楽しんで見守ってあげて欲しい。

手がもみじ状に開くようになる

―それまでは、もみじ状じゃなかったんだ

親指を中にいれて、グーの状態だよね。

―もみじ状に開くことは、大切なの?

手が開くことによって、物もつかめるし、手の平で物の感触も確かめられる。

人間は手の甲よりも、手の平の方が感覚が鋭いから。

それに、寝返りをする時、手の平でグッと床を支えることもできる。

―もしこの頃に、手がもみじ状に開かなかったら?

グーなのが悪いんじゃないのよ。

グーだからって、人間として生きていけないわけじゃないから。

でも手がもみじ状に開いた方が、その子にとっては楽。

力が入っているよりも、リラックスしている方が楽でしょ。

「子どもが生きていきやすいように援助してあげる」という出発点を、まず忘れないこと。

だから「手の開きが弱いから、むりやり手を開かせる」というのは違うよね。

手の甲をおもちゃでなでてやると手は開く。

これは、そういうふうに体の反射ができているから。

又、おもちゃで誘ってあげるのも有効。

物をつかもうとする時に、グーでつかむ子はいないから。

何かを無理にやらせるのではなく、常に「その子が自らを引き出すために、大人ができる援助は何なのか?」という視点で物事を考えていかないとね。

【前回】・【次回】

前回 0歳と3カ月 赤ちゃんの全身と会話をする

次回 0歳と5カ月 0歳と5カ月 「おもちゃ」について

【あらすじ】【目次】

母親に着地する方法 あらすじ

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