2023.11.2
目次
質問者 : 楢戸ひかる
回答者 : 富岡美織・北の星東札幌保育園園長 プロフィールは、こちら。
―この頃、足の指をなめる動きをする
六カ月くらいで寝返りする子が多いから、この頃が仰向けで寝ている最終段階。
この時代は、まだ自分の姿を見たことないわけ。
ここで足をさぐったり、ひざをなめたりして「自分の体はこうなんだ」ということを知る。
その気づきは、とても大事にしている。
自分の体をまさぐっていって、体の末端にまで気がつく。
新しい世界の発見だよね。
そこで「オレはここまでだった」と、探検は完成する。
そこに到達するには、手を足の方まで持っていけること、足をひきつけられること・・など、体の動きの難易度も要求される。
そこまで自由に動けるようになったことが、いわば仰向け時代終了の証なのね。
自分の体を使った遊びを、仰向け時代の最終段階でやりきっているかどうか?
それは、この頃の発達の上では、大切にしていること。だから「足の指をなめて汚い」と思わないで欲しい。
―いろんなものを、口に入れてなめまくる時期でもある
感覚を育てるという意味で、なめまわしは大切なんだ。
赤ちゃんは、ものを触るだけじゃ確認できないから、何でも口にいれてみる。
「このオモチャは、口に入らない」「タオルはシュパシュパするな」と目に入ったものを手で持ち、ひとつ、ひとつ口にいれて確認する。
園では「クローバー」といって、おもちゃを媒介にしてクローバーの形になって遊ばせている。
この時は、友達の指までしゃぶり倒すからね(笑)。
「何でもなめて気持ち悪いわ」とは思わずに、この行為も楽しんで見守ってあげて欲しい。
―それまでは、もみじ状じゃなかったんだ
親指を中にいれて、グーの状態だよね。
―もみじ状に開くことは、大切なの?
手が開くことによって、物もつかめるし、手の平で物の感触も確かめられる。
人間は手の甲よりも、手の平の方が感覚が鋭いから。
それに、寝返りをする時、手の平でグッと床を支えることもできる。
―もしこの頃に、手がもみじ状に開かなかったら?
グーなのが悪いんじゃないのよ。
グーだからって、人間として生きていけないわけじゃないから。
でも手がもみじ状に開いた方が、その子にとっては楽。
力が入っているよりも、リラックスしている方が楽でしょ。
「子どもが生きていきやすいように援助してあげる」という出発点を、まず忘れないこと。
だから「手の開きが弱いから、むりやり手を開かせる」というのは違うよね。
手の甲をおもちゃでなでてやると手は開く。
これは、そういうふうに体の反射ができているから。
又、おもちゃで誘ってあげるのも有効。
物をつかもうとする時に、グーでつかむ子はいないから。
何かを無理にやらせるのではなく、常に「その子が自らを引き出すために、大人ができる援助は何なのか?」という視点で物事を考えていかないとね。
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